ゾウを絶滅から守るためのアート展クラウドファンディングに参加しました
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私が動物園にゾウを見に行くようになったきっかけ、劇団四季の「むかしむかしゾウがきた」が
3月23日の長野県佐久公演で千秋楽となりました。
私をゾウに出会わせてくれた「むかしむかしゾウがきた」千秋楽の、私なりの記念としてクラウドファンディングに参加しました。
象牙目的の密猟によってアフリカゾウが減り続けていることを多くの人に知ってもらうためのアート展の全国巡回を支援するものです。
主催は、元宇都宮動物園の飼育員だった中村さんという方です。
象を絶滅から守るため、象のうんこのアート展を全国巡回させたい
こんなにゾウを見るようになるまで、アジアゾウもアフリカゾウも絶滅危惧種だということを知りませんでした。
だって、ゾウがいる公立動物園ってたくさんある。
国内のいくつかの施設や、東南アジアの観光地でゾウライドの体験、というのも比較的身近。
インドやタイで野生のゾウが暴れて家や車を壊した、というニュースを聞くこともあり、
それくらい人間の身近にいる、というイメージでした。
でも、20年後には日本の動物園からゾウがいなくなる可能性もあります。
密猟という話からはややはずれますが(でも関係なくはない)
野生由来の個体を、野生孤児の保護などの特別な理由なしで日本の動物園が導入することはまずなくなっているし、
日本では長年展示のみ目的の単性単体飼育が多かったこともあって、繁殖例が少ない。
動物園にゾウがいるのが当たり前でないことは意識しておきたいと思います。
ボルネオゾウのように、すでに国外に出すことが禁止されるくらい少なくなってしまった亜種もいることですし。
野生のアフリカゾウの数が減少している主な原因は象牙を目的にした密猟です。
アフリカゾウは15分に1頭、年間で3万頭くらいが密猟によって殺されているそうです。最初訊いたときには誇張ではないかと思ったほどショックでした。
そして日本は大きな象牙マーケットとなっています。
日本での、主な需要は印鑑です。
親族にはんこ屋さんがいる、という知人から「象牙の国際取引は禁止されたと思ったのですが、また再開されたのですか?」という質問があったのですが、
1989年にワシントン条約締結により輸入が禁止されたのち、
1999年に日本が一度だけの限定付きで正式に輸入、
2008年にCITES(ワシントン条約機構)によって許可されて競売が行われ、日本と中国が輸入をしました。
この2回で取引された象牙は自然死したゾウのものだとされています。いちおう。
正規に輸入された象牙はナンバーをつけて管理され、
象牙を取り扱う業者は経済産業省に届け出をする義務があります。
ただし、象牙から切り出したピースと加工製品につける認定シールは任意で、貼らないで商品を売買しても法律違反にはなりません。
そこで、密輸品が横行しているのではないか、と指摘されているのです。
アメリカのe-bayでは象牙製品は1990年以前に加工された骨董品扱いものもの以外販売禁止で、
Amazonでも取り扱いはないですが、
楽天市場とYahoo!ショップにはたくさんの商品があります。
密猟と密輸については、比較的最近、NHK(総合とBS)で取り上げられました。
クローズアップ現代のリンク先はかなり衝撃的な画像を含みますのでご注意の上ご覧ください。
クローズアップ現代2014年5月26日 追跡 アフリカゾウ密猟とテロ
NHKBS1国際報道2015年11月10日 追跡 象牙密輸ネットワーク
NHKBS世界のドキュメンタリー2015年11月9日 絶滅へのギャンブル ~アフリカ野生動物の危機~
正規に輸入されたものも含めて今後一切の売買をしないというのはやり過ぎと思われる向きもあるでしょうし、
自然死したゾウの象牙を活用して、ゾウの保護につなげるという考え方もあります。
が、象牙の需要があること自体が密猟を誘発してしまっている状態で、
1999年、2008年に輸入をしたことで「象牙は売れる」という印象を与えたという側面もあります。
また、ゾウは60年以上寿命があり、人間以外の天敵はおらず、自然死ゾウの象牙では、今の中国・日本の需要を満たすことはできないといわれています。
「絶滅すればむしろ値段が高騰する」「絶滅を楽しみにしている」とまで考える人がいる以上、
もはや、まともな取引は不可能だと私は思いました。
(この言葉を目にしたときには涙が止まりませんでした)
象牙の印鑑は朱肉のつきがいいといいますが、私は柘植の印鑑で別に不自由はない。っつか大した問題じゃないよ(暴言)。
銀行員の友達は、安い象牙の印鑑は使っているうちに真ん中がヘコんできてダメなんだよね、と言っていました。
正規品の日本国内在庫は政府が買い取るとかとかしないとダメかなと。
ゾウのためだけではなく、生活に困って直接密猟をする人に大したお金は入らず、取り締まりをしている政府軍と銃撃戦になって同国人どうしの殺し合いになっている問題、そして、テログループに大金が入り、さらに政情や治安が悪化して生活が困窮する悪循環の問題もあります。
密猟をする人たちの中には、ゾウに畑を荒らされ、ゾウを憎んでいる人も多いそうですが、
人間が増え農地が増えてゾウが暮らす場所が狭まっていることに加え、密猟で年取ったメスのリーダーを失い、経験が浅い若いゾウたちが人間の生活圏に近づいてしまうことも畑に被害が出る原因で、こちらも悪循環です。
状態を改善するために、NGOがゾウが生理的に嫌うミツバチを現地の人たちに飼ってもらったり、ゾウを観光資源とすることで、現金収入を得ながら共存する方向に向かうよう、支援しているとのことです。
詳しくはリンク先を見ていただきたいのですが、展示されるアートはゾウの糞から作った紙に描かれています。
ゾウの糞紙はタイでもおみやげものになっています。
中村さんは、死んだゾウからしか取れない象牙よりも、生きているゾウでなければとれない糞を価値のあるものに、と考えているそうです。
ズーラシアで、ゾウの糞を消毒・乾燥させてニスを塗ったものを持たせてくれることがありますが、ゾウは食べたものを半分くらいしか消化しないので、糞のほとんどは草や木の繊維で、乾燥させたものは干し草のようなにおいしかしません。
夏には東京でも展示会が開かれるのでその時は足を運ぼうと思っています。
浅草橋の会場では実際に、糞の紙を作るワークショップを行う予定、ということなので、お子さんの夏休みの自由研究にもいかがでしょうか?
リターンなしの、ワンコイン500円の支援もできます。
象を絶滅から守るため、象のうんこのアート展を全国巡回させたい
画像はズーラシアのアジアゾウ舎の横に掲示されている象牙についてのパネルです。
知らない、というのが一番問題だと思うので。
知っていて、それでどうするかは選択です。
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