劇団四季ファミリーミュージカル「むかしむかしゾウがきた」千葉公演2015年11月7日の感想
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「むかしむかしゾウがきた」千葉公演。場所は千葉市立青葉の森文化芸術ホール。
今年の1月以来、観劇は11ヶ月ぶりになりましたが、
3月にBSフジ「一滴の向こう側」の特集を4週間見ていたので
それほど開いている感じがしません。
今回は、ぎりぎりに取ったので後方の席でしたが、顔の表情も分かりました。
以下、感想はネタバレです。ご了承ください。
11月7日の感想
久しぶりに、公共ホールの全国公演に来たのですが、
青葉の森文化ホールは、千葉寺駅からすごく遠かった・・・
千葉寺までは自宅から1時間10分くらいなんですけれど。
公演までが徒歩10分くらいで、公演の中をさらに歩きます。
大ホールの前のロビーには喫茶店もあるのですが、この日はしまっていてロビーも真っ暗でした。
ですから、会場までは外のベンチにいました。
今回の観劇の主な目的はゾウの九郎衛門です。
九郎衛門は、2名の俳優が樹脂製のゾウに入って操作しています。
全国公演の九郎衛門担当者は6名で、
今日のキャストは東京公演を2回観たときとは違う組み合わせでした。
担当者は動物園でゾウを観察して研究するそうですが、どんなゾウを見てくるかによって、九郎衛門の性格も変わるのだそうです
東京公演で見たときに、九郎衛門の存在感にびっくりしたのですが、
考えてみると、私は大人になってから生きているゾウをちゃんと見たことなかったので、
10月から上野動物園に3回、多摩動物公園に1回行って、アジアゾウを観察しました。
ゾウは、性別、年齢による違いがハッキリしているし、個性も分かりやすいんですね。
さらに見続けていると、顔の特徴や動き方で個体の区別もできました。
そうやってゾウを見てから、九郎衛門を見ると、本物との違いもよくわかりました。
人間の脚の構造と、ゾウの脚とは違うので、関節の曲がり方も違うし、一番違うのは「鼻」ですね。
九郎衛門の鼻は縦方向の動きだけですが、本物はもっと自在に動きます。
九郎衛門は上野動物園のアティ6才のモニュメントと同じくらいなので、オスのアジアゾウ6、7才の大きさです。
舞台の台詞からするともっと大きい、ということらしいのですが、人が中に入って操作するため大きさに限界があるのでしょう。
子供の頃インドで捕らえられて、中国で曲芸をしながら旅をし、その後日本に来た、という設定ですから、9才か10才くらいなのかな。
キバがないのは造形の関係かもしれませんし、人が飼うために切っている、ということかもしれません。
でも、やっぱり、舞台の上で九郎衛門は生きている「ゾウ」でした。
何気なく後ろの片足を上げているのは、本物のゾウもやっていることです。
そういう細かいところまでよく観察して演技しているんだなあ。
九郎衛門、初めて町の人たちと太郎坊に会った時は、知らない人に囲まれて、緊張して興奮していたんですね。
触る人間もビクビクだけれど、九郎衛門も「触られたあ!」みたいな 笑
それをなだめる「唐の国のお使い」の目線と手が優しい。
おミヨちゃんが、どうしても九郎衛門に会いたくて遠い北の村から一人でやってきた場面。
九郎衛門が少し顔を傾けると、おミヨちゃんの心に寄り添っている感じがします。
元気なとき、楽しいとき、必死なとき、そして最後の場面。生き物としての表情が細やかに伝わってきました。
九郎衛門、東京公演の時よりも動きが大きくなっていたような気がします。
公演を積み重ねて、慣れてこられたのかもしれません。
2幕の戦いのシーンでかなりの勢いで走ったり、後ろ足を揃えて蹴り上げたりするのでびっくりしました。
だって、一人あたり30キロの負荷がかかっているんですよ。
前後二人のタイミングが合わないと転倒してしまうでしょうし。
また、回りの人間役の人たちの演技があって、九郎衛門が生きる、ということもよく分かりました。
今回は後方席だったので、泣かないかな、と思っていましたが、
最後は、九郎衛門が敵兵を追い払ったことに喜んでいる人々と、すでに死に向かっている九郎衛門の表情の、ギャップにやられました。
号泣はしなかったけれど、泣いた。
九郎衛門と仲良くなる少年、太郎坊役の横井さんは、この役で見るのは初めて。
太郎坊役は、子供役である上に、歌のソロもないし、すごいダンスもない。
東京公演で見た島村幸大さんは歌、横井さんはダンス、という自分の「武器」の生かしどころがあまりない、演技メインの役です。
(島村さんは日舞の名取なので、人形振りは見せ場でしたが。)
でも、横井さんは、現代の子どもよりも反応が素朴な昔の子、戦国時代の武士の子として一本筋が通った男の子をしっかり見せてくれました。
先月「ひろめ屋」役でデビューされた岸さんは、私は「キャッツ」スキンブルシャンクス役以外で初めて見ました。(「オペラ座」ラウルなど演じられているのですが)
武士、商人、職人のいずれでもない、世渡りがうまく冷静な目も持っている「ひろめ屋」(マスコミ関係者)の雰囲気が出ていました。
声楽出身の人ですが、口上や文楽の語りなど、和の発声も良かったです。
狂言回しとしてはもう少し、つかみの強さがあるとよいと思います。
個人的に好きな、男性アンサンブル1枠は、全国公演では3人の中国人俳優さんがキャスティングされていますが、今回も東京公演に続いて高城将一さんに当たりました。
「唐の国のおつかい」はポーカーフェイスの外交官ですが、九郎衛門が「日本で幸せに暮らせるように」と願って、太郎坊に託していくように感じています。(でも九郎衛門はそれから1年も生きていられなかった・・・泣)
高城さん、「唐の国のおつかい」では中国の人が話す風の日本語、2幕の敵兵役では普通の日本語のイントネーション、と使い分けられていました。
雑伎団の場面では、デヴェロッペからの200度開脚でちょっとヒヤッとしましたが、持ちこたえられて良かった。
全国公演は、毎回舞台の広さ、バミリの位置、床材が違うからアクロバットも大変ですよね。
終演後ロビー見送りで、九郎衛門の中の人、佐藤さん岡田さんと握手させていただき、少し言葉をかけさせていただきました。
太郎坊の横井さんとも握手させていただくことができました。
ファミリーミュージカルの地方公演ですから、観客のほとんどは地元の親子連れでした。
静かな場面では退屈そうにしている子もいたけれど、
フィナーレが終わって客電が付いたら、その子たちも目をキラキラさせていたのが嬉しかった
キャスト、スタッフのみなさん、全国公演3月まで頑張ってください。
1月10日板橋公演でまたお会いしましょう。
2015年11月7日の出演者
ひろめ屋 岸 佳宏
太郎坊 横井漱
太郎衛門 白倉一成
おゆき 中野今日子
おミヨ 山中由貴
ゴンじい 菊池正
与作・家老 岡﨑克哉
松吉・殿様 鈴木 周
七郎 小松貴行
敵兵頭 川村英
【男性アンサンブル】
高城将一
寒河江幸弘
若山展成
大黒智也
天野勝仁
東 泰久
松尾 篤
野口雅史
【女性アンサンブル】
森 真琴
原田千弘
熊本梨沙
松島明希
長橋礼佳
山田祐里子
【九郎衛門】
佐藤幸治
岡田匡平
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