BSフジ「一滴の向こう側」での「むかしむかしゾウがきた」特集
読了までの目安時間:約
6分
2015年6月13日~7月4日、全4回放送された
「一滴の向こう側」での、
劇団四季ファミリーミュージカル「むかしむかしゾウがきた」特番の内容をまとめました。
番組の切り口は「子どもたちにとびきりの笑顔を」というテーマで、
劇団四季のファミリーミュージカルと
福島の水族館アクアマリン福島
が同時に取り上げられました。
(画像は「一滴の向こう側」より)
30分番組を2テーマなので1回15分×4回、60分なのですが、
4回すべてを見ると、それまでの放送界との重複も多く、
四季を知っているものとしては、
同じことを繰り返すのではなくもっと掘り下げてほしい、という気はしました。
劇団四季には、ファミリーミュージカルというジャンルの、子供向けのオリジナル作品があります。
毎年、ファミリー作品は、東京でのステイ公演のほか、全国を回り、一般公演と、小学生を無料招待する、という全国公演を行います。
2015年は「むかしむかしゾウがきた」と「王子とこじき」「人間になりたがった猫」が上演されました。
劇団四季では、ほとんどすべての役に複数の俳優がキャスティングされます。
「むかしむかしゾウがきた」全国公演では、
ゾウの九郎衛門と仲良くなる少年、太郎坊役に、
横井漱さん
小林優さん
の2人が配役されていました。
横井漱さんは2010年研究所入所、当時入団6年目、
小林優さんは2012年研究所入所、当時入団4年目、どちらも若手俳優ですが、
横井さんは、ダンス力に定評があり、「桃次郎の冒険」桃三郎役、「キャッツ」コリコパット役と、
名前のある役の経験があり、「むかしむかしゾウがきた」東京公演では太郎坊を演じています。
同期の笠松哲郎さんのコメントで「彼は『キャッツ』に出演しているけれど猫アレルギーなんです」といったエピソードが紹介されました。
小林さんは、「ライオンキング」「ジーザスクライストスーパースター」などのアンサンブルとして出演していましたが、
主役は初めてです。
番組では、横井さんがすでに一度本番舞台で太郎坊を演じていることをはっきり言っていませんでした。
四季では、同役の先輩のことを「親キャスト」というのですが、
今回は東京公演の直後の全国公演だったので、
横井さんが、自分の稽古もしながら小林さんに教えているように思いました。
小林さんを太郎坊役に抜擢したのは、演出スーパーバイザーの磯津ひろみさん。
この辺りの事情も、四季を見続けている人でないとちょっとぴんとこないかもしれません。
2014年に、劇団創設者の浅利慶太氏が代表を退きました。
それまではすべての作品の演出が浅利さん(実際には、同時に10公演も行われているすべての舞台の演出を浅利さん一人がつけていたのではないと思いますが、最終的に責任を取るのは浅利さん)でしたが、
その後は、演出スーパーバイザー、演出スーパーバイザー補という名で、
その作品の出演経験があるベテランが作品の演出を行うようになりました。
小林さんをどうして抜擢したのか、という問いに対して、
磯津さんは「ここで叩いてみたら面白んじゃないか、と思ったので」と答えました。
今出せているもの以上のものが出てくる人材であることを期待している、という意味だと思いました。
最終的に、全国公演初日の相模原公演は横井さん、
そして次の東金での小学校招待公演で、小林さんがデビューしました。
小林さんを東金公演に起用した理由については磯津さんは、
「この数日の稽古で急に伸びてきて『今だ』と思ったから」と。即答でした。
四季では、チケットの前売り開始時にはキャストが発表されません。
予定キャストの発表は舞酒月曜日の10時ですが、
今回のように、新役デビューがあるときには、
前日や当日の午前中にキャストが変わることもあります。
観る方からすると、急な変更は困ることもあるのですが、
「今だ!」というときに出すことで、俳優さんが育ち、いい舞台になる、という面もあるのですよね。
この特番では、ゾウの九郎衛門役のことは全く取り上げられませんでしたが、
太郎坊役の側から見ることによって、九郎衛門を「生きているゾウ」に見せるのは周りなんだ、ということが分かりました。
そういえば、「唐の国のおつかい」役にキャスティングされている文永傑(ふみながすぐる)さん、
全国公演の稽古と、総稽古の見学にはいらっしゃいました。
その後「キャッツ」マキャヴィティ役が続き、今回の全国公演では出演の機会がないかもしれませんが。
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